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【編集部日記/レース回顧】結論、アーモンドアイが強過ぎました

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2018/11/26 23:42

アーモンドアイ

2:20.6。東京の芝2400mでワールドレコードを記録したアーモンドアイは、それでも目一杯という雰囲気はなく、凄みを感じさせる激走だった。金輪際お目にかかれないのでは…と思わせる怪時計。もはや日本競馬界史上、最も強い牝馬なのかもしれない。勝ちタイムを見た時は正直、機械の故障かTVゲームの世界かと思ってしまった(笑)

【ジャパンカップ】関係者コメント

確かにレースレコードくらい出そうな予感はあった。前日のキャピタルステークスの勝ちタイムが1:32.6、ジャパンカップ当日の第8レース、オリエンタル賞の1800m勝ちタイムが1:44.7でレコードに0.5差。かなり速い馬場状態ではあったからだ。

レースではハッキリとした逃げ馬がいない中、ダッシュを決めて川田将雅騎乗のキセキが先手を取るとマイペースに持ち込む。ノーブルマーズ、ガンコなどが続いて、最内で早くもアーモンドアイが3番手付近をキープ。1枠から行きっぷり良く好位にとりつけると、キセキの真後ろでじっと我慢していた。更にアーモンドアイを見るようにしてスワーヴリチャード 。中団にシュヴァルグラン、サトノダイヤモンドと続いた。ペースが厳しかったのか外国勢2頭はともにほぼ最後方付近を追走する形となった。

前半1000m通過は59.9。前日からの馬場コンディションを考えればやや遅めのペースとも思えたが、その後が圧巻だった。レースラップは、【12.9-10.8-12.2-12.3-11.7-11.8-11.7-11.4-11.4-11.0-11.4-12.0】5ハロン目から11秒台をひたすら刻んだ、中だるみのない消耗戦で、スピードとスタミナの総合力が問われる戦いとなった。

ジャパンカップゴール前

厳しいペースを作った川田騎手=キセキが大レコードの立役者となった。4コーナー付近にあたるラスト3ハロン目から後続を引き離しにかかっており、このペースで行って更に強気にラップをあげられては、後方待機勢はかなり厳しかったのではないか。肉を切らせて骨を断つという戦法。本来ならばセーフティリードを取ったはずだったが…それでもアーモンドアイだけは別だった。全く影響を感じさせず涼しい顔でこのペースについていくと、直線馬なりでラスト300m付近までじっと我慢。いつでもかわせる手応えのように映った。

ルメール騎手の手綱も完璧だった。これまでのレースではもう少し後方から運んでいたが、まさかの積極策で3番手。こんな展開になる事を予見していたかのようだった。ラストまで踏ん張ったキセキの激走を見る限り、秋華賞のように後方から進めていたら、取りこぼしていた可能性もあっただろう。

アーモンドアイはラストは1ハロンでキセキに並びかけると、アッサリ交わして1.3/4馬身差でフィニッシュ。従来のレコード2:22.1を1.5秒も上回る、2:20.6という大記録を生んだ。川田騎手も「普通なら押し切れるレース」と語っていたように、理屈抜きで〝勝った馬が強過ぎた〟という事なのだろう。もちろん悔しかったに違いないが、どこかやりきったという清々しさを感じさせる表情にも見えた。

スワーヴリチャード

2番人気で3着だったスワーヴリチャードは、M.デムーロ騎手が外から最内に入れるファインプレーでアーモンドアイの真後ろをキープ。ロスなく運んでアーモンドアイについていったが、速いレースラップがたたったのか、あるいは微妙に距離が長かったのか、ラスト1ハロンで失速。それでも3着はキープしG1馬としての格好はつけた。今回の敗因が前述した高速決着にあるのか、未だ本調子にないのかは定かではないが、条件や展開次第では、まだまだ活躍が見込めるはずだ。

一方、後方待機勢にとっては厳しい展開になってしまった。シュヴァルグラン、サトノダイヤモンドなど、後方から差を少し詰めるにとどまったのは、やはりキセキの絶妙な逃げが効いたのだろう。これだけのラップで直線に向かい、そこからさらにもう1段、2段と上の脚を使って差し切るのは難しかった。