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母は仏オークス馬、欧州マイルG1馬など、良血馬20頭 インゼルサラブレッドクラブ“オススメ”新規募集馬は?

中央競馬

一口馬主

2022/10/8 21:30

(左から)ヤンキーブライトの21・シャブリの21・サラフィナの21

初年度募集馬からクリダームが「クラブ初出走・初勝利」を達成し、すでに4頭が勝ち上がっているインゼルサラブレッドクラブ。短距離、中距離、芝、ダートと様々なカテゴリーで勝ち馬を輩出しており、今後にもさらに期待がかかっている。

そんな同クラブの2022年度先行募集が10月1日より始まった。今年度も社台ファーム、ノーザンファーム、日高地方の牧場からクールモアスタッドまで、数多くの有力牧場から良血馬が20頭、ラインナップされている。各馬の期待値や“オススメ”のポイントは…?インゼルサラブレッドクラブの湯日健治氏に聞いた。

――まず目を惹くのはルメール騎手で仏オークス(2010)を勝ったサラフィナの21(牡、父ブリックスアンドモルタル、友道厩舎予定)かと思います。超良血馬ですね。

サラフィナの21

湯日:父も、2019年に6戦全勝(うちG1 5勝)のアメリカ年度代表馬ですからね。その初年度産駒でサラフィナとの配合ということで、スピードとスタミナを兼ね備えた仔の出る配合じゃないかと非常に期待していました。

現在社台ファームで初期馴致をしていますが、452kgとちょうど良いサイズ。歩かせてみても「馬体や動きにまとまりがある」ということで非常に褒めてもらっています。友道先生も「非常に柔らかく、幅のあるレベルの高い馬」と楽しみにされていますし、芝の大きいレースで期待できる存在だと思います。

母サラフィナはここまで、日本では期待ほどの産駒を残せていませんが、サンデー系の父からブリックスアンドモルタルに変わり、これまでとはガラッと違う印象の仔をクラブに迎えることができたなと。今年の目玉として、非常に楽しみにしていますよ。

――欧州の良血馬といえば、英・仏でマイルG1を3勝しているローリーポーリーの21(牝、父Justify、蛯名厩舎予定)がラインナップされているのにはびっくりしました。

ローリーポーリーの21

湯日:私もビックリしました(笑)というのは半分冗談ですが、ブラックタイプを見ても活躍馬多数で「よく募集馬の中に入れることができたな…」と正直今でも思うくらいです。Justifyの仔も初年度産駒は世界的に話題になりましたが、既にアイルランドのG2、イギリスのG3の芝重賞を既に勝っているということで上々の滑り出しですよね。

本馬は去年の11月に日本に到着して、ノーザンファームYearlingから空港牧場へ8月中旬に移動したんですが、非常に順調で馬体重も454kgとちょうど良い。蛯名先生も「幅のある馬体からかなりのスピードを感じさせます」と高い期待を寄せています。

育成スタッフも「とにかく世界的な良血。プレッシャーはかかるが楽しみのほうが大きい」と話していましたが、その言葉どおり誰もが期待したくなる血統。夢を買っていただくような馬だと思いますね。

――初年度募集馬関連では、勝利したアンテロースの半妹・シャブリの21(牝、父エピファネイア、岡田厩舎予定)もいますね。

シャブリの21

湯日:アンテロースはモーリスの牡馬でしたが、こちらはエピファネイアの牝馬。現在の馬体重は433kgで、同時期のアンテロースよりも大きく出ています。牝馬でこの時期にこれだけ馬格があれば十分ですし、育成を担当する三嶋牧場でも「アンテロースと同じく柔らかい良い動きをする」と。

岡田先生も「動きが軽く、皮膚も薄くて父似。非常に楽しみです」と言っていました。兄も最初は目立たなかったのですが、栗東トレセンに入ってから評価が一変した馬。この馬もそんなふうにどんどん成長していく魅力があると思いますし、父からは牝馬三冠馬、昨年の阪神JF馬と牝馬の活躍馬も複数出ていますからね。この馬もそうなるよう願っています。

――日高の牧場の募集馬では、ムーンライトベイの21(牝、父キズナ、渡辺厩舎予定)がラインナップされているのも気になりました。

ムーンライトベイの21

湯日:ムーンライトベイも三嶋牧場での育成なのですが、調教主任の方が開口一番「いや、これすごく良い馬ですわ」と褒めていただいていて、まんざら社交辞令でもないかなと思っています(笑) 馬体重も461kgと、現状でも十分な馬格を有しています。

上も重賞で活躍していますし、父の産駒もオールマイティに走ってくれますからね。キズナに関しては一部調教師さんやジョッキーに聞くと、「将来リーディングサイアーになるのでは」と評価されているくらい関係者の間でも期待が高いんです。

距離も恐らく上より融通がきくと思いますし、古馬になっても広く活躍できる馬になるかなと思っています。この血統で結果を出されている渡辺先生も当歳のころから見ていただいていて、「姉以上の活躍を目指したい」と言っていただけているのも心強いです。うまく調整していただけると思います。

――三嶋牧場さんでは新種牡馬を父に迎えたユイフィーユの21(牡、父レイデオロ、武幸四郎厩舎予定)も評価が高いようですね。

ユイフィーユの21

湯日:本馬は当歳の時から、同期生のなかでも馬っぷりが抜群に良く目立っていました。デキが良いために今年もユイフィーユにはレイデオロを付けたくらい、三嶋牧場でも期待していただいているようです。

レイデオロは、サンデーサイレンスを持っていないチャンピオンホースということで、馬産地でも評価も高く期待されている種牡馬です。セレクトセールでも何頭も高額落札されていますし、かなり馬格の良い仔が多いです。

本馬も490kgと順調に成長していて、武幸四郎先生も「立派な馬体をしていますし、技術調教師時代に関わっていた父よりも距離の融通性があるように見えますので楽しみです」と話してくれています。良い意味での気の強さもあって、クラシック路線に乗せていきたいなという期待をしていますよ。

――ありがとうございます。ここまでノーザンファーム生産馬を1頭も挙げていなかったのですが、湯日さんの現時点での“オススメ”を1頭だけ挙げるとすると?

湯日:どれも良い馬なんですが、意外なところという意味ではレトIIの21(牡、父エピファネイア、国枝厩舎)でしょうか。レトIIはこれまで活躍馬が出ていませんが、エピファネイアを付けたところ牧場でも「すごく良い仔が出ました」と。

4月生まれなのですが、馬体重も452kgと標準的なサイズまで育ってくれています。かなり骨格もしっかりしていますし、国枝先生も「性格に問題なく、血距離が延びての活躍を見込んでいます」とのことで、今後の成長を楽しみにしています。兄弟が走っていないので評価しづらいかもしれませんが、この馬はオススメしたいと思います。

――同じ父で言うと、母、祖母が重賞勝ち馬であるマーブルカテドラルの21(牝、父エピファネイア、松永幹夫厩舎予定)も隠れた良血ですね。

マーブルカテドラルの21

湯日:これまでは社台RHさんでの募集でしたが、今年度は当クラブで募集させていただけることになりました。母も祖母も非常にスピードがある馬でしたし、それを受け継いで活躍してくれればなと期待しています。

馬体重も434kgと、母親と同じようなサイズで走ることになるのではと。松永先生も「まとまりのある馬体で、性格も素直な物分かりの非常に良い馬」と評価されていました。エピファネイア産駒は走っているので言わずもがなですが、どれも期待が大きいですよ。

――その他の募集馬も期待が大きいとは思いますが、キリがなくなってしまうので最後にヤンキーブライトの21(牝、父Practical Joke、森厩舎予定)について教えてください。近年再び外国産馬での活躍が目立つ同厩舎ですが…?

ヤンキーブライトの21

湯日:この馬は三嶋牧場が購買して、森先生にお願いしたという経緯です。同じ父でデュガが2勝を挙げていますが、森先生に聞くと「牡牝の違いはあるが、よく似ている」とのことなんですね。

馬体重は433kgですが、かなり幅があって筋肉質なのを評価されているようです。「スピードを秘めているので、2歳の早い時期からのデビューを考えていますよ」とのことで、血統の印象に見合った活躍が見られそうですよ。

――本当に目移りしてしまうラインナップです。既に会員の方、またこれから入会を検討されている方も悩まれることと思いますが、今年度の募集馬について総評をお願いいたします。

湯日:馬産地では繁殖の質を挙げたり、育成を工夫したりと、いろいろ努力していただいています。その結果が初年度募集馬の4勝という結果であり、重賞2着という結果であろうと思っており、初年度から良い結果が出ているということは、非常に心強く思っております。

今年度募集馬20頭の父馬のラインナップを見ても、いずれも旬の種牡馬ばかりですから、本当に自分が会員でも目移りしてしまうかもしれません。初年度ももちろん自信を持ってご提供させていただきましたが、今年度はさらに活躍をと思っていますよ。

早い時期から短いところで、という馬もいれば、距離が延びてから真価を発揮しそうな馬もいる。初年度もさまざまなカテゴリーで結果が出始めていますし、会員さんの好みによって選ぶ楽しみのあるラインナップになったと自負しております。ぜひ良い意味で、悩んでいただけたら嬉しいですね。

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