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「受け取る人間の数だけ受け継ぐものがある」全10回で描かれた「継承」「再生」そして「はじまり」…日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』最終回レビュー(ネタバレあり)

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4時間前

『ザ・ロイヤルファミリー』第10話の場面カット ©TBSスパークル/TBS

 TBS系日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』最終回が、12月14日(日)に放送された。競馬の世界を舞台に“人と馬の20年”を描く大作で、主演は妻夫木聡。共演には佐藤浩市、目黒蓮、松本若菜、沢村一樹、黒木瞳、小泉孝太郎、安藤政信、高杉真宙、津田健次郎、吉沢悠ら豪華キャストが顔をそろえる。原作は、山本周五郎賞やJRA賞馬事文化賞を受賞した作家・早見和真氏の同名小説。

 ケガから復帰したロイヤルファミリーはG1・ジャパンカップを制したことで有馬記念の出走条件をクリアーした。そして、中条耕一(目黒蓮)は有馬記念をロイヤルファミリーの引退レースにすることを決意。“馬の幸せ”を第一に考える耕一には、生涯暮らせるだけの飼葉料を稼ぎ終えたロイヤルファミリーを、これ以上ケガと戦わせながら出走させることができなかったのだ。

【写真】『ザ・ロイヤルファミリー』最終回振り返りシーン

運命の有馬記念――父親たちが息子たちの壁となる

『ザ・ロイヤルファミリー』第10話の場面カット ©TBSスパークル/TBS

 有馬記念には、初のG1制覇で勢いに乗るロイヤルファミリー、無敗のまま三冠を制した椎名展之(中川大志)のソーパーフェクト、総合力ナンバーワンとみなされる椎名善弘(沢村一樹)のレインボーキャンプ、同じく善弘の馬でロイヤルホープの血統を受け継ぐビッグホープが出走する。

 レース前、「継承」を「負債の繰り越し」と切り捨てる展之は、耕一に「へばりついた古臭い夢は俺が剥ぎ取るよ」と宣言。耕一は静かに言葉を返す。

 「剥ぎ取れないよ、夢は。だって、父親の夢じゃない。俺の夢だから。継承は押し付けられるものじゃない。選び取るものなんだよ。受け取る人間の数だけ受け継ぐものがある。俺は望んで夢を受け取って、自分のものにしたんだよ」

 運命の有馬記念はビッグホープがロイヤルファミリーを差し切り、善弘が山王耕造(佐藤浩市)と交わした“2人で最強の馬を生み出し、来たる勝負の時に若い力の壁となる”という約束を果たした。

 レース後、ロイヤルファミリーは興奮冷めやらず、天に向かっていななきを上げた。耕一は、もしロイヤルファミリーがまだ走りたいと思っているなら、ここで引退させることも「僕のエゴ」なのではないかと感じていた。

 栗須栄治(妻夫木聡)は「馬に決めてもらいましょうか」と提案し、「いずれにせよ、私は、耕一さんのため、ファミリーのために、精一杯尽力させて頂きます」と笑顔を見せる。耕一も「絶対に僕を裏切らないでください。絶対に」と笑顔で返した。

 引退を撤回したロイヤルファミリーは、翌年、大阪杯、天皇賞(春)、凱旋門賞、そして有馬記念を制覇した。

現役ジョッキーたちがリアリティーをもたらした全10話

『ザ・ロイヤルファミリー』第10話の場面カット ©TBSスパークル/TBS

 第1話でいきなり武豊騎手が本人役で登場し、白熱のレースシーンと共に一気に話題をさらった。2話以降も丸田恭介、菅原隆一、今村聖奈、戸崎圭太、北村友一、坂井瑠星、クリストフ・ルメールなど現役のトップジョッキーたちが出演し全10話を通して盛り上げた。

 そして、全10話がカバーした20年は、2011年に耕造と栗須が出会ってから、耕造が馬の命、日高の誇り、仲間の努力などすべてを背負いながら夢を追い続け、その夢を耕一が相続馬限定馬主という形で受け継ぎ、2030年に、耕一が改めて馬主となりゼロからのスタートを切るまでだった。

 『ザ・ロイヤルファミリー』は、夢を追って駆け抜けた耕造の人生のきらめき、妻となった野崎加奈子(松本若菜)と共に養老牧場を営むという夢を見つけた栗須の再生、そして、耕一の本当の夢の始まりの物語だったのかもしれない。

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