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「理屈を超えたところにいるのが本当に強い馬」…“血と想いの継承”が交錯した日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』第5話レビュー(ネタバレあり)
2025/11/14 06:10
TBS系日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』第5話が、11月9日(日)に放送された。競馬の世界を舞台に“人と馬の20年”を描く大作で、主演は妻夫木聡。共演には佐藤浩市、目黒蓮、松本若菜、沢村一樹、黒木瞳、小泉孝太郎、安藤政信、高杉真宙、津田健次郎、吉沢悠ら豪華キャストが顔をそろえる。原作は、山本周五郎賞やJRA賞馬事文化賞を受賞した作家・早見和真氏の同名小説だ。
勢いに乗るチーム“ロイヤルファミリー”は、ロイヤルホープで皐月賞に挑むが、ライバル馬主・椎名善弘(沢村一樹)のヴァルシャーレが勝利。ロイヤルホープは1番人気に支持されながらも、まさかの16着と惨敗を喫した。失意の中、山王耕造(佐藤浩市)は椎名を食事に誘い、酒の勢いもあって本音を吐き出す。
「馬は生き物。レースだって生き物なんだよ。スピードとか、スタミナとかさ、そんな理屈を超えたところにいるのが本当に強い馬だろうが」
その言葉には、敗北の痛みとともに、競馬に人生を重ねてきた男の“信念”が滲む。そしてロイヤルホープは続く日本ダービーに挑み、ヴァルシャーレと壮絶な叩き合いを演じて惜しくも2着。敗れはしたが、その走りは見る者すべての心を打った。
【動画】ロイヤルホープvsヴァルシャーレ…ザ・ロイヤルファミリー・日本ダービー母から息子へ、そして父から息子へ——“血の継承”が動き出す

ロイヤルホープの健闘に沸く一方で、耕造の“隠し子”の存在が社内に波紋を広げる。耕造は栗須栄治(妻夫木聡)に、前橋の病院で療養中の元銀座ホステス・中条美紀子(中嶋朋子)が、かつて自分との間に子をもうけたことを明かした。息子の名は…中条耕一(目黒蓮)。
美紀子を見舞った栄治は、彼女がかつて無理やり耕造に選ばされた一頭、ロイヤルハピネスの思い出を語るのを静かに聞く。
「ハピネスは今も北海道の牧場で元気に暮らしています。今や立派なお母さんです」そう伝える栄治に、美紀子は安堵の笑みを見せた。
競馬も馬も何も知らないはずの彼女が、理屈では説明できない“相馬眼”を持っていたことを、耕造は誰より知っていた。それは血の中に刻まれた感性…“理屈を超えた力”だったのかもしれない。
“理屈を超えた力”を受け継ぐ者たち

耕造と美紀子の血を引く耕一は、父の存在を知らぬまま大学で競馬研究会に所属し、レース分析に熱中していた。
ダービーの中継を聴きながら、「よし、行け」とロイヤルホープに声援を送る姿には、確かに“血の記憶”が流れていた。5話で描かれたのは、母から息子へ、そして父から息子へと受け継がれる“継承”の形だった。
それは、耕造や美紀子が積み上げてきた“理屈を超えた生き方”が、耕一の中で新たな形となって動き出す。そんな“宿命の継承”が為せる業だったのだ。しかし、美紀子の葬儀で、耕一は耕造に告げる。
「今後一切、僕には関わらないでください」
静かながらも決意に満ちたその声は、血の絆を拒絶するようでいて、同時に“何かが始まる予感”を残した。第5話は、耕造・美紀子・耕一という三者の“血の継承”を軸に、これまで描かれてきた“想いの継承”や“生き方の継承”の流れを一つに結びつける重要な回となった。
それぞれが抱える過去と宿命。理屈では説明のつかない“血と想い”の力が、物語を次のステージへと導いていく。耕一が“宿命”にどう向き合うのか、そして「ロイヤルファミリー」という名のチームがどう歩んでいくのか注目が集まる。次回、第6話は11月16日(日)よる9時放送。
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