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【POG】クラシックへの道、今年こそ…インゼル2歳世代の陣容とは
2025/5/24 21:00
エンプレス杯(川崎・Jpn2)は惜しくも2着に敗れたものの、9戦8勝で重賞を3勝しているオーサムリザルトを送り出すなど、初年度から活躍馬を輩出するインゼルサラブレッドクラブ。4世代目となる今年の2歳からは待望のクラシックでの活躍も期待したいところ。
POGファンからも注目が集まるこの時期、果たして期待馬の状況はどうなのか?インゼルサラブレッドクラブ・湯日健治氏に聞いた。(2025年5月上旬取材)
東京デビューから牝馬クラシックを見据える期待馬ディアダイヤモンド

ディアダイヤモンド(スカイダイヤモンズの23・父サートゥルナーリア・牝)は、北海道でも順調で、スタッフの方もかなり良い動きだと強調されていました。どこも悪いところが無かったので、天栄を経由して手塚厩舎に入厩。ゲートを合格し放牧しましたが、相変わらず天栄でも動きが良くて、東京競馬の新馬戦を目指して再入厩しました。
1600m戦からデビューを予定していますが、今後1800m~中距離戦でも活躍が期待できると思っています。今年こそクラブからクラシック路線に乗る馬を出したいと思っているので、この馬が一番でデビューしてポンと勝ってもらえないかなと。
父サートゥルナーリアの産駒を見ていると、大型馬よりも中サイズの馬が走っているような傾向にありますから、ちょうど良い身体でデビューかなと。距離は延びても持つと思いますし、手塚先生も北海道で見て「良い」と何度も仰っていただいたので、POG向きという意味ではイチ推しです。
アビラーシャ(サンカルパIIの23・父アドマイヤマーズ・牡)も、4月18日にゲートを合格しまして、栗東CWで時計を出し良い動きだったと聞いています。ちょっと前向きすぎる面もあるので、ノーザンファーム空港で調整してから、北海道シリーズでのデビューを目標に進めていく予定です。
父アドマイヤマーズは桜花賞馬を出しましたし、母サンカルパⅡはアルゼンチン産馬ですが1400~1600あたりで能力を発揮するのかなと思います。乗り方次第ではより長い距離でも持つのかなと思いますし、2歳のうちから堅実に稼いでくれると良いなと思っています。
4月に2勝目をあげたフェデラーの半弟グアンの23(父ブリックスアンドモルタル・牡)も良い動きを見せています。父が変わって距離が持つような感触もありますし、個人的にはダートだけではなく、芝の中距離でも行けるのかなというふうに思っています。
池江先生は1歳の秋頃に見ていただき「母に似て均整の取れた良い馬体をしている」と評価いただきました。冬に北海道から本州(キャニオンファーム)に移動してきて、定期的に視察いただいています。夏に入厩してゲートを通してから、うまくいけば小倉デビューも十分あり得るかもしれません。
他ではハツアカネ(アンバーミニー23・父ニューイヤーズデイ・牝)も社台ファームで週4日坂路コースに入っていて、13.6-12.5-12.8の時計をマークするなど良い動き。近いうちに本州への移動を視野に入れているようです。3歳では同じ父の牝馬ミリアッドラヴやプラウドフレールがPOG期間にも活躍していますし、短いところでも十分行けると思うので楽しみにしているんです。
キングズテイル(スマートオランプの23・父リオンディーズ・牡)も結構スピードがあると三嶋牧場さんで褒めていただいていて、4月27日にチャンピオンヒルズへ移動済です。父は皐月賞馬も出しましたし、入厩も早いんじゃないかという感触ですね。血統的には地味かも分かりませんが、穴っぽいところで面白いかなと思います。
キタサンブラック半弟、ドウデュースの半妹も秋デビューから王道へ

キタサンブラック、シュガークンの半弟となるラルクアンレーヴ(シュガーハートの23・父コントレイル・牡)ですね。4月29日生まれで募集時は少し幼さがありましたが、育成場に入ってから緩急をつけて乗られています。先日も清水久詞先生も視察されて、馬体も成長してきているので「じっくりやってもらったほうが良い」という評価でした。
夏の間は入厩しないかもしれませんが、毛色は違いますがコントレイルらしさが出ていて、一旦軌道に乗れば能力を発揮してくれるんじゃないかと思います。この母の血統を熟知されている先生ですし、父は期待の新種牡馬ですからぜひクラシックに乗せたいですね。
ドウデュースの半妹となるシェリデュース(ダストアンドダイヤモンズの23・父シルバーステート・牝)もノーザンファーム早来で坂路14~16秒ペースで乗られています。父シルバーステートの牝馬は気性の勝った馬が多いですが、動きにも余裕があって現状うまく調整いただいていますね。
性別も違うのでドウデュースとは違ったタイプかなと思いますが、現在の馬体重(452kg)以上に大きく見せています。近日中にノーザンファームしがらきに移動を予定しており、秋以降のマイル以上の距離でデビューとなりそうです。桜花賞よりはオークスというイメージですね。
他ではヴィンテール(ヴィニーの23・父エピファネイア・牝)も順調に乗られていて、走りのバランスも良化してきています。この血統も池江先生によくやっていただいていますし、焦らず体力強化に努めて父エピファネイアの良いところを引き出せればと思います。
同じ父では当歳時から脚捌きが軽くバネのあったフライングジェムの23(父エピファネイア・牝)も面白い存在。先日も田中博康先生に視察いただいて、毛艶の良さと馬体増に好印象を抱いていました。お盆過ぎまでじっくり北海道で乗り込んで、焦らず秋~冬のデビューをもくろんでいます。
藤原先生が頻繁に見に行かれているアサリア(プレミアステップスの23・父キズナ・牝)も良さそう。背腰に疲れを溜めやすいので考慮しながらの調整ですが、スピードに乗ると柔軟性が感じられる動きで牧場での評価も高いです。秋デビューから牝馬のクラシック路線に乗ってほしいなと思う1頭です。
早期デビューではないですが1歳のときから「将来楽しみな馬ですよ」と牧場から評価をいただいていたのがマイコンチェルト(テディーズプロミスの23・父サトノダイヤモンド・牡)。ノーザンファーム空港の坂路で15~16秒を楽に登坂しています。馬体重も487kgありますので、6~7月には本州移動の話が出てくるのでは。半兄にも京都2歳Sを勝ったマイラプソディがおりますから、こういう馬がクラシックに乗ってほしいなと思っています。
名門・千代田牧場生産の牝馬2頭が面白い存在?

名門・千代田牧場生産の2頭は面白いと思いますね。シュネルアンジュ(マーガレットメドウの23・父キズナ・牝)もここまで何のアクシデントもなく操縦性もかなり良い馬。上のサクラトップリアルはダートですが、個人的には芝でも走りを見てみたい。秋のデビューは十分可能だと思います。
アルマリンピアの23(父ゴールドシップ・牝)も順調で、骨格もしっかりして見栄えのする馬体。お母さんは短距離で走りましたし、牧場での評価も高くスピード能力を受け継いでいそう。茶木先生も2歳秋頃のデビューを示唆されていましたし、そこから桜花賞を目指せればと思うくらい楽しみにしています。
動きが上昇しているのはアメジストブリエ(ユイフィーユの23・父レイデオロ・牝)ですね。BTCの坂路で14~15秒ペースで乗られていて、早めの本州移動もあり得る進度です。全兄が2頭いますが上とは違う中サイズの牝馬なので、穴っぽいところで推奨したいと思います。
少ない産駒数ながら勝ち上がり率の高い父の産駒マスターソアラ(マスターワークの23・父シスキン・牝)も楽しみな馬。ノーザンファーム早来で坂路15~17秒を乗られていて順調で、このまま乗り込んでいけば5月下旬くらいの移動も考えられそう。夏競馬でのデビューもあり得るかもしれませんね。
他ではハッピーローヴァー(アーズローヴァーの23・父リアルスティール・牝)も馬体は小さいですが脚捌きが良く、短距離で良さそう。ティエラレイナ(エルパンドールの23・父ナダル・牝)は大人気の父の産駒ですが、ガッシリしてダート一辺倒で良さそう。牝馬ですがダート三冠路線をイメージできたら良いなと思います。
インゼルの馬はバラエティに富んでいて、POGでも選び甲斐があると思います。早期デビューの馬もいれば、秋デビューから王道を目指す馬も。POGにはいろいろなルールがあると思いますが、最近では海外も含めダート路線も充実してきていますし、上手く選んでいただいて楽しんでいただければと思いますね。
*お申し込み方法はインゼルサラブレッドクラブホームページでご確認ください。
https://inseltc.com
記事:2025年5月上旬取材


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