競馬コラム
【有馬記念レース回顧】ロングスパートから高い機動力を発揮したドウデュース
2023/12/25 06:10
「ドウデュースも私も帰ってきました!」武豊騎手が筋挫傷の負傷で休養している間に、天皇賞・秋で7着、ジャパンカップで4着に敗れていたドウデュース。ダービーで破った世界最強イクイノックスが引退した今、ここで負けるわけにはかなかった。
スタート後はスッと後方に下げていき、前半から折り合いに専念。後方2番手と最初から決めていたようなレース運びで末脚を温存した武豊騎手とドウデュース。フワッとした運びで、この秋2戦とは別馬になったかのような走りを披露した。
逃げたタイトルホルダーは中弛みのないほぼ12秒台で淡々とラップを刻んだが、2番手以降は1秒以上かそのくらいは離れたややスローのロングスパート勝負。折り合いも良くしっかりと脚が溜まったドウデュースは、ラスト700m付近から大外をひと捲りして、素晴らしい機動力でコーナーを押し上げていった。
距離不安も囁かれていたが、レース中盤が何もなかったかのようにフワッとした運びで、最後まで押し切ったのはまさに豊マジック。直線では坂を登って最後は地力勝負となったが、そこはダービー馬の意地。早めの押し上げも踏ん張ってねじ伏せるような差し切り勝ちだった。
ルメール騎手の完璧なエスコートだったが…
2着スターズオンアースは、有馬記念史上3着以内なしと言われた16番枠からの好走。ロケット気味のスタートを決めて、こちらも勝ち馬同様決め打ちかと思わせるレース運びだった。迷わず行かせて2番手をしっかりキープ。逃げたタイトルホルダーを交わすだけの競馬だったが、勝ち馬の地力が今回は上だった。流石ルメール騎手、素晴らしいエスコートだった。
3着タイトルホルダーはこれ以上ない運びでの有終3着。前半から中弛みなくほぼ12秒台を連発してスタミナ勝負には持ち込んだ。坂を登って惜しくも交わされてしまったが、自ら厳しい展開に持ち込み、持ち味を最大限に発揮した最後の逃走劇だった。
ジャスティンパレスはスタートひと息で…
4着ジャスティンパレスはスタートひと息で最後方からの競馬に。腹を括って直線勝負の様相だった。ドウデュースを見ながらの追走だったが、3、4コーナーでのコーナーワークの差で万事休す。直線では最後にひと脚を使ったものの、外外の展開も合わせて、結果的にスタートでほぼ決着がついた形だった。
5着シャフリヤールは好枠を活かしてしっかり好位で4番手のイン。終始ラチ沿いをロスなく進めたことが最後の伸びに繋がったか。海外を転戦して香港で取り消し後の出走だったが、しっかりと能力を出し切った。
タスティエーラは直線で挟まれる
6着タスティエーラは見せ場なく敗退。終始馬群の中で進めたものの、最後の直線では挟まれる不利もあり、上手く流れには乗れなかった。上位とは手応えも違い、不利がなかったとしても結果としてはそんなに変わらなかったとは思われる。しかし、挟まれながらも最後に再び盛り返しての6着。一応の力は見せた。
8着ソールオリエンスは馬群の中で厳しいレース運びとなった。これまでとは違った形のレースで、強豪揃いのこの大一番で揉まれる形となり、最後の直線では余力も残っていなかった。結果的に1枠が向かなかったように思う。
壁作れず…脚も溜まらず
12着スルーセブンシーズは厳しい15番枠から中団を追走。終始力み気味の行きたがるような雰囲気で、脚が溜まらなかったか。中間の調整も万全かと思われたが、枠順も含めてこの馬に運が向かなかった。
コメントを書く