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【天皇賞・秋レース回顧】伸びなかったクロワデュノール、進路がなかったマスカレードボール…人気2頭の敗因

レース回顧

7時間前

クロワデュノールとマスカレードボール

 上位人気2頭の結果は、着順だけでは測れない敗戦だった。11月1日、東京競馬場で行われた天皇賞・秋(G1・芝2000m)。4番人気ダノンデサイルが大外から豪快に差し切り、2着ネブラディスクに2馬身半差をつけて完勝した。勝ちタイムは1分56秒7。上がり3ハロン32秒9はメンバー最速で、17頭の中で唯一の32秒台だった。

 1番人気クロワデュノールは5着、2番人気マスカレードボールは11着。人気2頭が揃って敗れたが、その内容は大きく異なる。マスカレードボールは直線で進路が塞がり、能力を出し切れなかった。一方、クロワデュノールは勝ち負けを狙える位置にいながら伸び切れず。こちらは敗因をもう少し掘り下げる必要がありそうだ。

 レースはレディネスが先手を奪い、リアライズシリウスが2番手を追走。前半1000mは58秒8で通過した。

 後半1000mは57秒9。1000mから1200mが12秒1、1200mから1400mが11秒8と徐々にペースが上がり、ラスト600mは11秒4、11秒3、11秒3。最後までラップが落ちなかった。

 単純な瞬発力勝負というより、直線で速い脚を使い、それを最後まで維持できるかが問われた一戦だった。

 逃げたレディネスは17着、2番手のリアライズシリウスは15着、好位につけたホウオウビスケッツも14着。上位4頭はいずれも4コーナー10番手以下からの差し、追い込みだった。

 その中でもダノンデサイルの末脚は際立っていた。大外17番枠から後方に控え、4コーナーでは16番手。直線で大外へ持ち出されると、上がり32秒9の脚で一気に前をのみ込んだ。

 2番目に速い上がり33秒3を記録したタガノデュードも、4コーナー17番手から4着まで追い込んでいる。後方から脚を伸ばした馬が上位を占めたが、そこからさらに2馬身半差をつけたダノンデサイルの強さは抜けていた。

クロワデュノールの不可解な敗戦

天皇賞・秋 クロワデュノールとC.デムーロ騎手

 今回、気になるのはクロワデュノールの負け方だ。

 道中は6番手付近を追走し、4コーナーも6番手で通過。ダノンデサイルより10頭も前にいたが、直線では思うように伸び切れなかった。

 上がりは34秒2。勝ち馬とは1秒3もの差がある。

 ただ、この数字をそのまま瞬発力の差と捉えるのは早計だろう。

 直線では進路が狭くなる場面があり、スムーズに加速できなかった。C.デムーロ騎手も休み明けによる反応の鈍さに言及し、斉藤崇史調教師も、動きたいタイミングで動けなかったことを振り返っている。

 つまり、今回の34秒2という数字が、クロワデュノール本来の末脚を示しているとは限らない。

 それでも、ひとつ疑問は残る。

 仮にもう少し前で流れに乗っていたとして、勝ち負けまで持ち込めただろうか。

 今回の前半1000mは58秒8。極端なハイペースではないものの、最後まで速いラップが続き、先行勢は軒並み失速した。さらに前へ行けば、道中で余計に脚を使わされていた可能性もある。

 今回の位置取り自体が極端に悪かったわけではない。むしろ、そこから上位馬ほどの脚を使えなかったことが気になる。

 もちろん、直線の不利や休み明けの影響を考えれば、今回だけの反応の鈍さだった可能性も十分にある。今回の一戦で、高速ラップへの対応力に限界があると決めつけることはできない。

 ただ、勝ったダノンデサイルだけでなく、2着ネブラディスクは上がり33秒7、3着レガレイラは33秒8。4着タガノデュードも33秒3で追い込んだ。上位勢が速い末脚を繰り出す中、クロワデュノールは最後までその争いに加われなかった。

 休み明けによる一時的なものだったのか。それとも、今回のような速い上がりが求められる展開では、持ち味を発揮しにくいのか。

 5着という結果以上に、次走で確かめたい部分が残った。

マスカレードボール11着…外を回していれば結果は違ったのか?

天皇賞・秋 マスカレードボールとC.ルメール騎手

 一方、マスカレードボールの11着は、クロワデュノールとは事情が異なる。

 道中は後方で脚をため、4コーナーでは14番手。勝ったダノンデサイルと近い位置から直線を迎えたが、そこから明暗が分かれた。

 ダノンデサイルが大外からスムーズに加速したのに対し、マスカレードボールは前が詰まり、進路を確保できなかった。進路を探すうちに追い出しが遅れ、まともに末脚を発揮できないままゴールを迎えた。

 上がりは34秒2。ダノンデサイルとは1秒3の差がついたが、これをそのまま能力差と考えるのは難しい。

 結果論にはなるが、外へ持ち出していれば、もっと違う競馬ができた可能性はある。

 実際、今回の上位馬は後方からスムーズに加速した馬が中心だった。大外を回したダノンデサイルだけでなく、最後方から追い込んだタガノデュードも4着に食い込んでいる。

 もっとも、外を回せば距離のロスが生じる。どの段階で外へ出せたのか、実際にその選択が可能だったのかは別の問題だ。外を回していれば勝てたとまでは言えない。

 それでも、今回のマスカレードボールは能力を出し切れなかったと考える余地が大きい。11着という着順だけで評価を下げるのは早く、スムーズな競馬ができれば巻き返す可能性は十分にある。

 展開もハマり、外を気持ちよく回したダノンデサイルの圧勝で幕を閉じた天皇賞・秋。後半1000m57秒9、ラスト600mも最後までラップが落ちない決着で、勝ち馬は上がり32秒9という強烈な末脚を繰り出した。

 その一方で、人気2頭の敗戦内容には違いがあった。

 マスカレードボールは進路を失い、末脚を十分に発揮できなかった11着。クロワデュノールは直線での不利や休み明けの影響が考えられるものの、上位馬ほどの加速を見せられなかった5着だった。

 着順ではクロワデュノールが6つ上。しかし、次走への評価という点では、マスカレードボールの方に巻き返しの余地を感じる。

 クロワデュノールについては、今回の敗戦だけで能力や適性を判断することはできない。ただ、前で運んでいれば解決したというほど単純な内容でもなかった。

 今回だけの反応の鈍さだったのか。それとも、速い末脚を求められる競馬に課題を残したのか。次に同じような条件で走った時、今回の5着が持つ意味も変わってくるだろう。

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