競馬コラム
BCクラシック制覇で感じた「1着だけの風」フォーエバーヤング 坂井瑠星騎手インタビュー(前編)
7時間前
2025年、フォーエバーヤングとのコンビでサウジカップ、そしてブリーダーズカップ・クラシック制覇を成し遂げた坂井瑠星騎手。既に2026年も昨年と同様にサウジカップ、ドバイワールドカップを目指すことが発表されている。改めてその快挙を振り返りながら、今年の意気込みを坂井瑠星騎手に聞いた。
――たくさんお祝いもあったかと思いますが、改めてBCクラシック勝利の重みというのは。
2025年の…と言うか、騎手になって一番の目標だった海外GI制覇。サウジカップで勝たせていただいて、そこからのブリーダーズカップ・クラシックでした。昨年のリベンジという意味でも大きかったのですが、まだ日本人・日本馬が誰も勝ったことがなかったレースです。そのブリーダーズカップ・クラシックを、フォーエバーヤング・矢作厩舎・藤田オーナーのこのチームで勝てたということが、すごく大きかったですね。
――これまでアメリカでは、ケンタッキーダービー3着、BCクラシック3着と悔しい思いもしていました。改めてその地でリベンジできた思いを。
そのレース自体は、同じレースというのは二度とないので、悔しさ自体はなくならない。やっぱりどうしてもアメリカでフォーエバーヤングと勝ちたいという気持ちが強かったので、本当に色々な意味で大きかったなと思います。
――ブリーダーズカップ・クラシックが歴史的大偉業と報じられ、競馬界以外からの反響を感じられたことは。
僕だけの話で言うと、競馬とまったく関係のない小中学校のときの友だちであったり、当時の学校の先生からも連絡が来たりして。日本でGIを勝つのとはまた全然違うなと感じました。そういうところでブリーダーズカップ・クラシック制覇の大きさというのを感じました。
付けなかった選択──最高峰の舞台に立つジョッキーの美学

――報道などでは、レースで「勝利の景色を自分だけのものに」ということで、ジョッキーカメラを付けていなかったとのことでしたが。
(記事では)カッコ良くなってますけどね(笑)まぁ…見せたくなかったですね。単純に。もちろん勝つつもりでいました。馬の状態は100%でしたし。ファンの方々はすごく喜んでくださると思うんですけど…。面白くないじゃないですか、最高峰の舞台の景色を。ジョッキーとしては。僕は、他のジョッキーのそれは見たくないなと思ったので、だから付けなかったですね。
――その「勝利の景色」を、言葉でちょっとだけ教えていただくとすると。
どのレースでも、1着でゴールしたときは「風」が違うんですよ。感じる「1着だけの風」が。1着と2着では全然違うんです。ゴールしてから周りに、前に、他馬がいないときだけの風がある。ブリーダーズカップ・クラシックのあの風を感じられたのは…言葉には言い表せないですけど。日本代表として行っているわけで、まして誰も勝ったことがないレース。日本であの風を感じたことがあるのは僕だけですから。
――馬が100%の状態。人も相当なプレッシャーのかかる状況だったかと思いますが、坂井騎手も100%の状態に持っていくためにされたことは。
タイミング的にも、このブリーダーズカップ・クラシックというのを目標に、2025年9月からTENTIALさんとコンディショニングサポート契約という形で組ませていただきました。馬のコンディションも大事ですけど、人のコンディションも大事になってくるので。今回であれば飛行機で移動する際の服、アイマスク、ネックピローなどすべてご用意いただいて、そのセットで向かいました。
*坂井瑠星騎手は2025年9月よりTENTIALとジョッキーとしては異例のコンディショニングサポート契約を締結。ブリーダーズカップ・クラシックに向け、移動時のコンディション管理、時差対策等のサポートを受けていた。
人も100%を目指す──勝敗を分けるコンディショニング

――実際に、そうしたサポートの効果は。
アメリカに着いてからも、実際に身体がラクでした。服から何から一番快適な状態だったので、なるべくストレスを減らして移動できたかなというのはありますね。間違いなく良い効果はあったと思います。実際に勝っていますし。今まで自分ひとりで調整していたものが、TENTIALさんとチームでできるというのは気持ち的にも大きいです。人のコンディションというものを、より考えるようになりました。
――フォーエバーヤングは2026年が最後のシーズンとなる予定。改めて意気込みを。
2025年に勝てなかったドバイワールドカップを勝つというのは、僕の中でも目標ですし、チーム・フォーエバーヤングとしても大事なこと。目の前の1戦1戦、全部勝てるようにしっかり準備していきたい。フォーエバーヤングに限らずどの馬でもそうですけど、僕はしっかり乗るだけだなと思っています。(後編へ続く)

コメントを書く