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【マイルCSレース回顧】あっさりと先行策に持ち込んだビュイックのエスコート
2018/11/23 19:45
ステルヴィオにマイルCS以前に跨ったことのあるジョッキーはC.ルメールとC.デムーロの2人。1流ジョッキーである2人が口を揃えて「マイルは忙しい」と過去にコメントしていた。ルメール騎手に限っては「1800mでも忙しい」と語っていたほどである。
先入観とは恐ろしいもので、マイルは合わない、スタートダッシュが効かない、完全にそのイメージが当方では染み付いていた。であればトップマイラーが揃ったG1で出番などあるわけがない、ましてや朝日杯以来のマイル戦とあっては尚更であると思ったのは言うまでもない。ビュイック騎手の騎乗には本当に驚かされてしまった。色々なことが噛み合ったのであろうが、「朝日杯以来」勝手にマイルは1年振りだし無理に決まってるでしょと決めつけてしまい、1年前より成長しているのでは?とならなかったのは不徳の致すところである。
当然そう思い込むのにはそれなりの理由があった。まずハッキリとした逃げ馬がいなかった。上記の理由に加えて、スタートダッシュで置かれて、更にスローで後ろからでは…大方そういう想像をした人が結構いたのではないかと思う。
勝ったステルヴィオにとって幸運だったのはジョッキーもコメントしているようにスローペースになったことだろう。7Rに行われた3歳上500万下の同条件のレースでは47.0-46.7の勝ちタイムは1:33.7。マイルCSの時計が47.1-46.2、勝ちタイムが1:33.3。0.4しか変わらない。過去10年のマイルCS良馬場勝ちタイムでも最も遅い決着であり、時計的な側面ではやや低調だった。前半のペースが500万下より0.1遅いレベルなのだから、前につけることは容易に可能だったのであろう。
エンジンのかかりが遅いという印象がある同馬だが、鞍上もテン乗りでよく乗りこなしている。これまでの走りからして内から伸びる競馬というのは想像しづらかったが、ビュイックも伊達にゴドルフィンの主戦を務めているわけではない。流石ヨーロッパのトップジョッキーと唸らせる騎乗だった。
馬券圏内は1番枠から3番枠まで順番に入るという、内枠を利した馬が独占。今週からのCコースを生かし、内が悪いと言われてはいたが結果的には完全に内有利だったと言わざる終えない。 ビュイックの完璧なエスコートで秋のマイル王となったが、高速決着の速い上がりが要求されるような馬場、展開で同じレースが出来るかと言うとそれは疑問。枠順と馬場状態で上位は簡単に入れ替わりそうな拮抗した力関係ではありそうだった。本当の進化が問われるのは次走なのかもしれない。とにもかくにも枠順とジョッキーの捌きが大きかったと感じた上位入線組だった。