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【JBCスプリント レース回顧】完璧なレースをしたはずのマテラスカイだったが…
2018/11/5 17:46
前後半33.7-36.7。後半3秒も落とした超ハイペースをマテラスカイと武豊騎手は演出し、持ち味を完全に出し尽くしたはずだった。スタートを五分に出ると、ダッシュ良く先頭に立ち後続を引き離しにかかる。マテラスカイは4コーナーも手応え良く回って来ると、ここで唯一ついてこれたのがグレイスフルリープ。このペースで3着以下の馬はついて来れず、ほとんどの馬は勝負圏外に去っていた。なし崩しに脚を使った馬が多くいたはずだ。
グレイスフルリープは東京盃をひと叩きして、状態は相当上がっていたのではないか。前走のコメントを振り返るとルメール騎手も「次は良いと思う」と言っていたのを思い出したが、よくよく思い返すと前走は外枠で終始外を回らされていたし、それでありながらマテラスカイにも先着はしていた。基本的なスピード能力で負けていることはなかった。今回はマテラスカイの横に入り好枠に恵まれた結果、ルメール騎手もゲートを出てそれについていくだけというレースプランだったのだろう。最内のポケットでロスなく回ってくると後は目標めがけて追いかけるだけという完璧なレース運びだった。
前が飛ばしてそれなりのペースで回ってきているだけに、勝負どころで外を回って詰めていくというのは各馬至難の技だった。それでいて逃げ馬も止まらないのだから総合的な能力の差と言うしかない。
肉を切らせて骨を断つはずだったマテラスカイの逃げで唯一敗因をあげるとするならば、序盤ウインムートに多少競り込まれたことくらいではなかろうか。スタートから2ハロン目で10.6、3ハロン目では11.0とかなりのハイラップ。それでも勝てると見込んで強気の競馬を見せ、ゴール寸前まで粘り込んでいるのだから武豊騎手の逃げは完璧に近いものだったはずだ。勝ち馬の底力が今回は上回った。
キタサンミカヅキは本当に惜しい競馬だった。むしろ地方開催だったらと思わせる内容だった。東京盃では上位2頭に勝っているわけだから、鞍上の森泰斗騎手も悔しかったに違いない。森騎手のコメントにもあったように「いつもより進みが悪く…」前半は軽いダートが完全に堪えた形だった。中団からの位置になったが、ラストはキッチリ差し込んで来ているだけに、ローカル開催なら違った結果だったかもしれない。いづれにせよこのメンバーでも能力が高いことは改めて証明した。全体的に見渡してみても、枠順の有利不利が多少なりとも影響したJBCスプリントだったように思う。