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【菊花賞レース回顧】距離適性不問の瞬発力勝負

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2018/10/22 20:30

ディープインパクト産駒のフィエールマンが33.9のキレを発揮して3冠最終戦を制覇したが、恐らく大抵の競馬ファンが予想したレース展開とは大きく異なるものだったのではないかと思う。例年、ディープ産駒と相性の悪いレースだが今回は同産駒向きのレースとなった。

アイトーン、ジェネラーレウーノ、エポカドーロ、メイショウテッコンと内枠に行きたい馬が集中しスタート直後の先行争いが注目されたが、まさか超がつくスローペースで長距離適性を度外視したレースになるとは誰も思っていなかっただろう。

ことの始まりはメイショウテッコンが出遅れ、アイトーンがスタートダッシュに負けてしまったことから起きている。ジェネラーレウーノがあっさりと行き切ると、番手の位置に予想通りエポカドーロが収まるが、エポカドーロと戸崎圭太騎手もまさか直線まで全く動けなくなるとは想像もしていなかったのではないか。

隊列を見ていくと、外からカフジバンガード、コズミックフォース、アフリカンゴールドが先行争いに加わり、3列目以降の最内にユーキャンスマイル、並ぶようにしてフィエールマンが続いた。1番人気のブラストワンピースは更に後ろとなり、後方から5、6番手付近。

2着のエタリオウはスタート直後から後方2番手となったが、正面スタンド前でスローペースと見るや一気に押し上げ、ほぼ団子状態の9番手付近真ん中までデムーロ騎手が導いていた。ここは流石デムーロである。このレースに限らずルメール騎手やデムーロ騎手はペースに応じてある程度のポジションを取りに行き、そこで馬を収めるという芸当が本当に上手い。あのまま後方からラストで詰めるというレースを展開していたら、馬券圏内は極めて厳しかったに違いない。

馬群はそこまで縦長の展開になることはなく、ほぼ一団に近い状態で進んだ。前半から62.7-64.2-59.2と中盤では更にペースが緩んだが各馬動きもなく、ペースだけを見ていくと3コーナー坂の頂上を迎え、ここから坂の下りを使って一気に各馬押し上げてくロングスパート対決になると思いきや、ラスト4ハロン、3ハロン目は共に12.2とややペースを上げるにとどまる。

どの馬も余力十分という感じで直線をむかえ、上がり3ハロンで12.2-10.7-11.3。3ハロン目から2ハロン目にかけて異常なギアチェンジを求められヨーイドンの形に。直線だけの明らかな瞬発力勝負となっては、これまでのレースから想像するに逃げたジェネラーレウーノも、エポカドーロも分が悪かったたに違いない。エポカドーロは最内から一瞬伸びかけたが、もっと早めに自ら押し上げたかったはずだ。前も横も馬で塞がっていてどうする事も出来なかったのはツキがなかった。適距離かどうかというより、とにかく一瞬の脚を問われたことは数字が証明している。

下り坂を使って外から一気に先頭を伺ったエタリオウが先に抜け出しを図り、ワンテンポ遅れてやってきたフィエールマンに差されてしまったあたりは、もはや運不運。デムーロ騎手とエタリオウはこの展開をしっかりと捉えてこれ以上ないレースをしたように思う。ユーキャンスマイルに騎乗した武豊騎手も長綱でリラックスして馬を走らせ、無駄なく直線勝負まで持ち込んだ。この辺りはジョッキーの腕と地の利とも言えるのかもしれない。

勝ったフィエールマンにとって最も好都合だったのは、スローペースの瞬発力勝負になったこと。1800mまでしか経験したことがない上、7月のラジオNIKKEI賞以来の休み明け。ある程度の位置でじっとして直線で割るだけという至ってシンプルな競馬となったことが幸いした。このタイミングでルメールを乗せてくる陣営、ローテーションがどうのこうのという常識を超えて、休み明けをキッチリと仕上げてくる調教師、ノーザンファームの手腕はお見事というしかない。そしてルメール騎手の勢いが乗り移ったかのような結果だった。

1番人気のブラストワンピースは位置なりの競馬で勝負には行ったが、ゴールまで伸び続けるも瞬発力勝負に敗れてしまった。スタートで思ったほどダッシュがつかなかった以外はある程度レースの流れには乗ったようには見えた。この結果で勝負づけが付いたわけではなさそうだ。

掲示板に載った馬を見ていくと、結果的にノーザンファームの育成と外厩を使っている馬が占め、企業努力と育成技術の向上が顕著に出たように思う。