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【ジャパンCレース回顧】三冠馬に相応しい貫禄

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2021/11/29 12:27

(C)Yushi Machida

ジャパンC回顧
 無敗の三冠馬のラストを飾るにふさわしいコントレイルの快勝劇だった。好スタートからスムーズに1―2コーナーを回って向正面では中団やや前めのポジショニング。5F通過62秒2のスローペースにも折り合いはピタリとついていた。

 途中で最後方にいたキセキが一気にポジションを上げて先頭へ立つ場面があったが、そんな変則的な流れにも惑わされることなく自分のリズムを保ってジワリと位置取りを上げていく。4コーナーでは先に仕掛けたオーソリティ、それを追いかけたシャフリヤールを目標に進出開始。早めに先頭に立ったオーソリティを残り150メートルで交わすと、そのまま一気に突き放して最後は2馬身差でフィニッシュ。まさに〝盤石〟といった走りで、その実力を満天下に知らしめた。

 レース後の福永騎手が「この馬が本当に強いということをみんなに知ってほしかった」と話し、引退式では矢作調教師が「周囲の雑音が聞こえたり、悔しい思いをした」と声を詰まらせたように、一部からは〝相手に恵まれた〟世代との評価もあった。しかし同馬のこれまでの3度の敗戦はアーモンドアイに負けた昨年のJC、極悪馬場に泣いた大阪杯、そして斤量や馬場、展開が不向きだった天皇賞・秋だけ。古馬になって本格化したオーソリティ、〝強い3歳世代のダービー馬〟シャフリヤールを完封したこの日のコントレイルには、紛れもなく三冠馬にふさわしい貫禄があった。

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オーソリティの充実ぶり

 2着のオーソリティの充実ぶりにも目を見張るものがあった。アルゼンチン共和国杯を57・5キロで制してからの中2週。にも関わらずプラス2キロの馬体重で臨めたあたりが同馬の今の充実ぶりを示す証しだろう。レースではマクって動いたキセキの進出に呼応する形で早めの仕掛け。ラスト300メートルで先頭に立ち、シャフリヤールを1馬身半退けた走りは大いに評価できる。これで東京コースはGⅠ、重賞のみ5戦して〈4100〉とほぼパーフェクト。来年の春は国内に適鞍が見当たらないが、秋の東京では再び大暴れが期待できる。

 一方、期待されたほどの走りができなかったのは3着シャフリヤール。1コーナーで他馬に寄られる不利を受けてリズムを崩したとはいえ、4コーナーでは目前にいたオーソリティとの差を詰められずに終わってしまった。春のダービーで、やはりスムーズさを欠きながらも負かしたエフフォーリアが天皇賞・秋を制したことを考えても、今回がポテンシャルの全てとは思えない。奇しくも不良馬場の神戸新聞杯の上位3頭はいずれも菊花賞で凡走したが、同4着シャフリヤールにもタフな馬場を走った後の見えないダメージが残っていたのかもしれない。

 4着サンレイポケットは相手なりに走れるしぶとさで天皇賞・秋に続いて健闘。GⅠではやや足りないが、GⅡ、GⅢならば首位を狙える。

 5着にはフランスのグランドグローリーが入って外国馬最先着を果たしたが、いわゆる〝GⅠ級〟のトップ3を脅かすシーンは作れなかった。これで外国馬は16年連続で連対なし。今年は例年以上に粒が揃っていたように思えたが、日本馬のレベル、馬場への対応など、依然としてクリアすべきハードルは高い。
 
 次走注目は6着ユーバーレーベン。中団追走から直線では狙っていた外に出せず切り返すロスがあったが、最後はいい脚を使って伸びてきた。この秋は順調さを欠いて復調途上が伝えられていたが、やはり地力は高い。状態次第にはなるものの、来季は牝馬限定のGⅠや重賞戦戦線での活躍が見込めそうだ。