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【菊花賞レース回顧】疲労が残っていた人気2頭

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2021/10/28 17:00

(C)スポニチ

菊花賞レース回顧

 短~中距離戦に比べて〝ジョッキーの腕〟が問われるとされる長距離戦。であるとするならば今年の菊花賞のMVPはタイトルホルダーを5馬身差の圧勝に導いた横山武史ということになるだろう。

 勝因は大きく2つ。まずは遮二無二ハナを奪い切ったこと。最内枠のワールドリバイバルも行く気を見せていたものの、外から絶対に引かない構えを見せて先頭に立つ。2ハロン目にはレース内最速となる11秒1が記録されるという、およそ長距離戦らしからぬ攻防が序盤から繰り広げられた。しかしレース後にジョッキーが「マジメすぎるところがあるが、1頭になるとリラックスできる」と話したように、多少強引であっても先頭に立って走らせることが、長距離戦を克服するための横山武史=タイトルホルダーの作戦だったのだ。

 2つ目のポイントはペース配分。今年の菊花賞を1000メートルずつ前―中―後で分けると、60秒0―65秒4―59秒2というラップ構成。前半こそ勢いよく飛ばしたものの、中盤でものの見事にペースを落として体力を温存。結果、最後まで脚を残して逃げ切ることに成功したのだった。

 これで皐月賞(エフフォーリア)に続く今年2つ目のGⅠタイトルを手にした22歳。ダービーではハナ差の2着に涙を飲んだが、春よりも一層のスケールアップを感じさせる勝利となった。
 
 アタマ、ハナ差の2着争いを制したのはオーソクレース。決して有利とはいえない大外18番枠からのスタートだったが、前5F60秒0とペースが流れたことで縦長の馬群となり、思いのほか外、外を回らされる展開とならなかったことは幸運だった。しかし3コーナーではいち早く鞍上の手が動き、うながされながら追い上げる形。それでも最後までバテることなく脚を伸ばして2着を確保した。

 前走のセントライト記念もそうだったが、勝負どころでの反応の鈍さが現状の課題。それでも骨折による長期休養を挟みながらGⅡ3着→GⅠ2着と崩れないあたりが、地力の高さとも言える。母は古馬になってGⅠ2勝を挙げたマリアライト。母のように年齢を重ねて成熟してくればタイトルに手が届いても不思議はない。

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紅一点ディヴァインラヴは長距離戦で活躍が見込めそう

(C)Yushi Machida

 
 3着に入ったのは紅一点の牝馬ディヴァインラヴ。6番手から正攻法の仕掛けでの馬券圏内確保は手放しで褒められていい。長丁場で開花した夏の上がり馬。今後も長距離戦ならばトップ戦線での活躍が見込めそうだ。
 
 2番人気のステラヴェローチェは4着。勝負どころではオーソクレースの外で手応え優勢に見えたが、直線の追い比べで力尽きた。僚馬に遅れた最終追い切りや、マイナス12キロの馬体重などを見ると、必ずしもベストコンディションではなかった可能性もある。

 1番人気のレッドジェネシスは後方から動けず13着に敗退。ほとんど見せ場がなかった。結果論になるがステラヴェローチェとレッドジェネシスは不良馬場で行われた神戸新聞杯の1、2着馬。もしかしたら道悪馬場で激走したダメージが尾を引いていたのかもしれない。