桜が満開になる頃、栗東トレセンにもピカピカの新卒の装蹄師が入ってくる季節です。私たちの時代は装蹄師の人数が少なかったので全員の名前をフルネームで覚えられたのですが、現在のトレセンの装蹄師は当時の倍以上もいて簡単には覚えられません。

　JRAという一升瓶の中で技術を磨いていく日々が待っているわけで彼らも将来的には開業を夢見ているでしょう。狭き門であることが事実ですが、この世界に飛び込んだ以上は頑張ってもらいたいです。

　対照的に人手不足なのは私たち装蹄師にとって必要不可欠な商売道具である蹄刀を造る職人さん。後継者が育たない理由の一つに蹄刀の一本を造るのにかかる労力と時間が値段に見合わないからでしょうか。良い蹄刀は熟練の技術が必要で、私は現在の料金の3倍でも安いくらいだと思っていますし、腕のいい蹄刀職人が育つ土壌を願っています。

　担当馬が活躍してくれています。2週前は土・日曜メインを大久保厩舎の管理馬が勝利して、先週は難度の高いドバイワールドカップでこれも大久保厩舎のチュウワウィザードが奮闘2着。その勢いに乗って…であれば同厩舎の大器グロリアムンディは、きょうの阪神9Rアザレア賞で2勝目を挙げてくれると期待しています。