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ステイホームにダービースタリオン!最新作『前が壁』問題や気になる変化は?

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2021/2/20 21:31

 新型コロナウィルスの猛威は止まることなく緊急事態宣言も延長。競馬場にも通えない状況が続く中、ステイホームのお供に、2020年12月3日に発売されたNintendo Switch版『ダービースタリオン』をプレイしてみた。ダービースタリオンは、1991年にファミリーコンピューター用のソフトとして第一作が発売されて以降、競馬育成シミュレーションゲームとして一世をを風靡し、競馬の発展に寄与する作品となったことは言うまでもない。このゲームと共に育った世代が、今の競馬人気を支えている中心世代と言っても大袈裟ではないだろう。

 ダービースタリオンで競馬を覚えたという人は数多く存在し、ニンテンドー3DSで発売された前作品から家庭用ゲーム機で約6年ぶりのリリースとなったが、熱烈な競馬ファンの期待を背負ったこの作品は、果たして伝統的な問題を解決しているのだろうか?SNSや販売サイトのレビューで様々なことが呟かれているが、どのような作品なのかなどをおおまかにまとめてみる。

キーファーズがYouTubeチャンネルを開設

●やはり初心者に分かりやすいダビスタ

 過去の作品を知らないユーザーや、競馬を知らない人でも、競馬を知るにはダビスタをやれば競馬の基本的なことは大体わかる!という部分は少なからずにあると言っても良いだろう。情報量が絶妙で生産、育成、競走に集中出来るシンプルな構造。その点は変わっておらず、最強馬の育成、馬主ライフをお手軽に体験出来るゲーム性はやはり素晴らしい。競馬チャンネルという初心者が基本を学ぶコンテンツや、ミッションをクリアしていくことで、何をすれば良いのか感覚的にわかるようになっているのも流石。やはり競馬育成シミュレーションゲームの王道である。

●音声実況の導入

 今作品で初めて音声実況が導入された。馬名をスラスラとこたえる実況に大きな進化を覚えると共に、ゴール前の熱を持った実際の実況のようにはいかないのは致し方ないところか。決して文字を読まなくてもレースに集中出来るようになり、実際に音だけを聞きながら、レース中には違うことをちょこちょこするなんてこともしばしば。流暢な実況が搭載されたことは、大きな進化であることは間違いない。

●グラフィックが美しい

 グラフィックの進化は素晴らしいものがある。向こう正面や4コーナーの描写はテレビさながら。リアルに近い再現がなされている。ファンファーレも実際のJRAのものが使用されており、リアルな再現に拍車をかけているように思う。

●『前が壁』問題

 ここからはやっぱりという問題をいくつか取り上げてみたい。実際の競馬には様々な事象が起こることは競馬ファンならわかっていることで、それをゲームで表現するのは非常に難しいとはある程度理解は出来るものの、SNSなどでも突っ込まれている『前が壁』問題が今作品も顕著。実際の競馬でも起こり得ることなのだが、直線の攻防では馬群の中にいる差し、追い込み馬が不利なのは、過去を振り返っても感覚的にはあまり変わっておらず、今作品でも圧倒的に不利である。

 ゲームバランスなど色々な要素があるにせよ、今作品の強い特性なのかもしれないが、馬群から中々抜け出せず、そして内が空いていても外へ外へ比較的持ち出そうとする挙動が多い(馬体に併せに行く動き)。いつからこのジョッキーはこんなに前が詰まる競馬をするようになったのだということもしばしば…。と思ったら、急に振り切ったようにラチ沿いに進路を取ることもあり、掴みどころが難しい。進路変更のロス?(スピードダウン)が大きいようにも感じ、スムーズに抜け出せないと二桁着順は当たり前の状況となる。気づけば1番人気で最下位、何連敗もするなど非常に難しいと感じることが多い。

 上位に来る時のパターンで多いのは、先手を奪う、または最後の叩き合いから抜け出すという逃げ・好位差しのパターンが多いと感じているユーザーがほとんどなのではないか。スタートが悪い馬はそもそも絶望的になることも。作戦に『大外』を加えるなど、馬群を捌けるような、差し馬に有効な作戦が加わるとより嬉しい。この辺りの改善をアップデートで期待したいところだ。

 実際の競馬とは異なり、ゲームでは綺麗なコーナーリングからまっすぐ走る直線の攻防では、馬群を捌くという状況にも中々なりづらい。馬は斜めに移動するということもあるわけで、競馬場、距離、季節によって、馬群がバラけるなど、実際のレースの傾向をある程度再現できれば、ストレスの少ない直線の攻防が見られるのにと思うのはユーザーの思いの一つではないか。ゲームバランスという意味も含めて、これは永遠の課題なのだろう。

 また、いわゆるアーモンドアイのような現役最強馬クラスのライバル馬でも2桁着順に沈む場面が頻繁に見られると思うと、いかがなものかと感じることも少なからずある。それも競馬だと言ってしまえばそれまでなのだが…競馬ゲームならではのゲームバランスの難しさ、表現の難しさは令和となった今も昔も変わらないのかもしれない。

地方と海外レースが増えればより良い

 昨今の日本競馬は強い馬は海外遠征へ、ダート馬は地方交流レースへという流れが当たり前のように行われている。これだけレース選択が豊富な時代に、ゲームでも自由なレース選択が出来ないのは不便だと思っているユーザーも多いのでは。ダート馬の選択肢の少なさは顕著で、2歳でダートを連勝したのに全日本2歳優駿がないばかりに、阪神JFか朝日杯FSで惨敗したなど、辛いと思ったことは何度もあるのではなかろうか。フェブラリーステークスではなく川崎記念に向かいたいとか、馬の適正に合わせた選択肢は再現して欲しいところだ。

厩舎におまかせだとローテーションが…

 これもある程度のユーザーが感じていることだと思うが、厩舎におまかせすると何故?このローテーションとなる?ということが本当に多い。それはそれで味とも捉えつつ…調教をこなしてくれる部分では、ある程度の能力がある馬なら、どの厩舎でも大差はないのかもしれない。しかし、短距離使ったと思ったら突然距離を大幅に延長だとか、無理してG1に登録だとか、能力を無視したレース選択が非常に多いと感じ、もう少し丁寧であって欲しい。ある程度のパターンが設定され、厩舎の選択肢を大幅に増やしても良いのではないかと少なからず思う。

ロードの長さはそこまで気にならない

 今作品で1番最初に様々なところで呟かれていた、ロードの長さに関しては正直そこまで気になるところはなかった(アップロードで改善)。個人差はあるのだろうが、多少のロード時間は致し方ないと我慢出来る部分も。ロードの長さより馬群が捌けないストレスの方がよっぽど気になってしまう。

なんだかんだ競馬ゲームの最高峰

 ダビスタはなんだかんだシンプルかつわかりやすく競馬を表現していて中毒性もある。やはり競馬ゲームの王道で面白いのに違いはないのだが、あと少しのところが改善されればと、歯痒い思いをしてるユーザーも多いのでは。まだまだ新型コロナウイルスの猛威は止まらない世の中で、競馬場にも気軽に足を運べないが、ゲームでステイホームのお供に競馬を体感するのも悪くない。どんどんより良い変化、アップデートにより、さらに不動の作品となっていくことを切に願う。