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【西内荘コラム】海外遠征時、装蹄の今昔物語

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2019/9/28 12:30

 昨今、海外遠征は特別ではなく普通に行き来する時代。なので凱旋門賞も担当装蹄師が当たり前のように現地へ行くのかと思いきや、今年は誰も行かないと聞きました。日本馬と外国馬で蹄質・装蹄方法が違うので手替わりになることに意外な感じがします。

 私は今年の遠征には部外者の身。応援するのみですが、過去にはヴィクトワールピサが香港に遠征した時に苦い思い出があります。香港は厩舎エリアにコンクリートの場所が多く蹄鉄が減ってしまったこともあるけど、私の到着前に現地の装蹄師が打ち替えてしまい、深釘で知覚部にくぎがあたり化膿して出走を取りやめた最悪の事態になったのです。一線級の日本馬の蹄質は薄くて、当時の香港馬とはその部分に置いても違いがありました。蹄というのはそれくらい繊細です。

 他には若い時にはジャパンCに米国馬が遠征してきた時のこと。陣営の装蹄師が来日しないことから私に装蹄を要望されたのですが「削蹄もなにもせず蹄鉄だけを打ち替えるように」の要望には苦笑いするばかりでした。米国は装蹄の先進国。きっと当時の日本をなめていたのでしょう。

 JRA馬主のキーファーズの所有馬とは縁があって装蹄を任せてもらっています。凱旋門賞当日のG1マルセルブーサック賞に出走するサヴァランは仏国馬なので、トレセンの厩舎人に聞かれますが、こればかりは現地の装蹄師が担当しています。