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【ジャパンカップ レース回顧】世界の名手が凌ぎを削る

レース回顧

2022/11/28 06:13

ジャパンカップ レース写真 (C)Yushi Machida

 外国馬4頭が参戦し、世界の名手が集まった今年のジャパンカップは、スローペースの団子状態から各馬余力を残した地力勝負。短期免許で来日しているジョッキー同士が見事な手綱さばきを見せて馬券圏内を独占、迫力のある攻防を繰り広げた。

 勝利したヴェラアズールは芝レースはまだ6戦目で、今回で22戦目とキャリア豊富な大器晩成型。前走の京都大賞典でも稍重の中、強い勝ちっぷりでここに来ての充実ぶりには目を見張るものがあった。

C.デムーロ騎手が再び騎乗停止、ジャパンカップで斜行

 このレースではスタートからムーア騎手が促して出していき、ポジションを取りに行く積極的な運び。1コーナー手前で他馬にぶつけられる厳しい場面もあったが、それでも引くことなくポジションを取りに行く姿勢で、序盤はヴェルトライゼンデの後ろ、ちょうど隊列の真ん中あたりをキープした。振り返れば結果的にこの位置取りに大きなポイントがあったようにも思える。

 スローペースの密集した馬群の中でじっと我慢して、向こう正面でも頭を上げるような仕草を見せており、終始馬群の中でプレッシャーを受けるような形で、決して楽な競馬ではなかった。それでもヴェラアズールは最後までへこたれることなく、鞍上のエスコートに応えて直線でも狭いスペースを縫いながら爆発力のある差し脚を繰り出した。人馬ともに素晴らしい精神力を見せ、ムーア騎手の気持ちの強さと執念が勝利を呼び込んだように見えた。

結果的に枠順の差もあったか…

ジャパンカップ (C)競馬のおはなし

 2着のシャフリヤールは、天皇賞・秋をステップに、適距離のここが本番だと思われた。春にはドバイシーマクラシックを勝利して、JCを勝てば報奨金200万ドルの対象。合わせて7億円近い賞金がゴール寸前まで手の届くところにあったが惜しくも敗れ、勝ち馬にうまく乗られた形になった。結果的に枠順の差もあったか。終始外を回される展開で、最後の直線しっかりと外目から伸びてきたが、ラストはやや内にもたれながらも2着を確保してダービー馬としての力は示した。

 3着のヴェルトライゼンデは、上位3頭の中では一番スムーズな競馬を展開しての3着だったかと思われる。レーン騎手も枠を生かしたロスのない運びで好位を追走。じっと我慢して直線前が開いたところから一旦先頭の場面を作り、あわやというところは見せた。展開、ポジションを鑑みても、ここではそれ以上に上位2頭が強すぎた。

直線半ばで開いていれば…

 4着のデアリングタクトはエリザベス女王杯から中1週の厳しいローテーションでもしっかりと能力を発揮。初コンビとなったマーカンド騎手だったが、能力を最大限に引き出し、三冠牝馬の意地を見るような直線の差し脚だった。直線半ばでは、伸びているところで外に切り返す場面もあり、前が開いていればもしかしたらというところだった。遡れば1コーナーの攻防、ヴェラアズールとのポジション争いで接触もあり、後方にやや下がる形になったところにポイントがあったのかもしれない。

 5着のダノンベルーガは勝ちに行ってのもの。直線半ば早めの形で押し切りを狙ったが、ラストはやや甘くなったようにも見え、距離も微妙に長かったのかもしれない。ゴール前では不利を受ける場面もあったが、交わされてからのもので態勢には影響がなかったかと思われる。

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