競馬コラム
【たかぎさんコラム】武豊騎手の「いつか勝ちたい」を追ってパリへ…12度目の凱旋門賞が始まる
2026/10/2 20:10
9月30日、羽田空港からパリへ向かった。目的はもちろん、武豊騎手とメイショウタバルが挑む凱旋門賞を見るためだ。
実は、フランスに行くのは今回が初めて。フライト時間は約14時間。普通なら「長いな」と思うところかもしれないが、飛行機に乗ること自体が好きな自分からすると、むしろ嬉しいくらいの時間だった。
長いフライトを終え、いよいよ初めてのパリへ。入国審査では、「フランス語でいろいろ聞かれたら、何を言っているのか全然わからないぞ」と少し構えていた。
ところが実際には、パスポートを無人の機械で認証して、そのまま通過。何か質問されることもなく、拍子抜けするくらいスムーズにフランスへ入国できた。空港からパリ市内への移動もUberで解決。言葉の壁で困ることもほとんどなく、無事にパリ市内へ到着した。
今回は、普段から親しくさせていただいている馬主の方々や、元JRA騎手の勝浦正樹さんたちと一緒のフランス滞在。初日はみんなで食事をして、長かった移動の一日を終えた。
【画像】メイショウタバル馬房前の武豊騎手…フランスより初めて歩いたロンシャン、「日本の競馬場とは、全然違うな」

そして現地で迎えた10月1日。今回の旅で楽しみにしていたことの一つ、パリロンシャン競馬場へ向かった。
実際にコースを歩きながら、馬場について説明を受けたり、普段はなかなか見ることのできない場所を見学したりする機会をいただいた。そこで最初に感じたのは、
「日本の競馬場とは、全然違うな」
ということ。
実際に歩いてみると、想像していた以上に起伏があり、場所によっては歩きにくさを感じるほど。もちろん人間が歩く感覚と競走馬が走る感覚はまったく違うだろうが、日本の整備された競馬場を見慣れている自分にとって、その違いはかなり印象的だった。
日本で結果を残してきた馬たちが、普段とはまったく違う環境、馬場、起伏のなかで世界のトップホースと2400メートルを走る。これまで多くの日本馬が挑みながら、いまだ勝つことのできていない凱旋門賞。
その難しさの一端を、実際にロンシャンの芝の上に立ってみて、少しだけ感じられた気がした。
「手が届かないという感覚はない」武豊騎手、32年目の凱旋門賞

これまで武豊騎手と一緒にいるなかで、凱旋門賞の話を聞く機会が何度もあった。普段はどんな大舞台を前にしても自然体に見える豊さんだが、凱旋門賞について話していると、このレースがやはり特別な存在なのだということが伝わってくる。
1994年、ホワイトマズルで初めて挑戦してから32年。今回が12度目の凱旋門賞になる。
以前、豊さん本人に凱旋門賞についてインタビューをした際、何度挑戦しても勝てないレースをどう感じているのかを聞いたことがある。そこで印象に残ったのが、
「手が届かないという感覚はない」
という言葉だった。
11度挑戦して、まだ勝っていない。それだけを聞けば、とてつもなく遠い場所にあるタイトルのようにも思える。でも、本人はそう思っていない。
初めて挑戦した頃よりも、悔しい経験を重ねるたびに「いつか勝ちたい」という気持ちは強くなってきたという。
そして今年、その12度目のパートナーがメイショウタバルだ。
豊さんはタバルについて、「人のつながりを感じる馬」と話している。メイショウの松本好雄オーナー、石橋守調教師、三嶋牧場、そして武豊騎手。長い競馬人生のなかで築かれてきたさまざまな縁がつながり、今年、このメンバーでパリにやってきた。
凱旋門賞は、豊さんにとって単に「まだ勝っていない海外G1」というだけのレースではないのだと思う。何十年も騎手を続けてきた今でも追い続けている目標であり、本人が「モチベーションの一つ」と語るほどの存在だ。
自分もこれまで、日本から何度も凱旋門賞を見てきた。そのたびに「今年こそ」と思ってきたけれど、実際にフランスに来て、ロンシャンの馬場を自分の足で歩いてみると、このレースを見る感覚が少し変わった。
ここを日本馬が走るのか。
注目の発走は日本時間10月4日(日)23時05分頃

そして、この舞台で豊さんは32年間、勝つことを諦めずに挑み続けてきたのか。そう思うと、今年の凱旋門賞が今まで以上に楽しみになった。
10月4日。武豊騎手とメイショウタバルが、パリロンシャン競馬場の2400mに挑む。豊さんが何度も口にしてきた「いつか勝ちたい」という凱旋門賞。その「いつか」が今年なのかは、まだ誰にもわからない。でも、本人が言うように、決して手の届かない場所ではない。
その瞬間を信じて、今年は日本ではなく、このパリで見届けたいと思う。武豊騎手とメイショウタバルの凱旋門賞。
いよいよだ。
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