競馬コラム
戸﨑圭太騎手インタビュー後編・“ベリベリホース”に次ぐ名言はいつ飛び出す?初の著書『やり抜く力』出版のきっかけになった「騎手人生で一番の乗り味」を振り返る
12時間前
戸崎圭太騎手インタビュー後編では、ダノンデサイルで制した2025年ドバイシーマクラシックを振り返る。まさにその時の馬上インタビューが、26日に発売される初の著書『やり抜く力 天才じゃなくてもトップになれた「ベリベリ」シンプルな理由』出版のきっかけになるわけだが…。さらに2着が3回ある日本ダービーへの思いや、“ベリベリホース”に次ぐ名言についても聞いてみた。
――2025年はYouTubeチャンネルを開設され、ドラマ『ザ・ロイヤルファミリー』にもご出演などなど、競馬以外でもご多忙だったと思います。反面、「競馬の成績を落とさない」と決めて臨まれたとか。
戸崎騎手「もともと不器用なほうなので、競馬だったら競馬に集中したいタイプ。余計なことを入れてしまうと、競馬がおろそかになってしまうんじゃないか…というのが昔からありました。例えば一昨年は、トレーニングこそやっていましたが、もうずっと家にいたというくらい。今考えれば暇があったなと。ドバイの勝利から流れが変わって、去年は比べものにならないくらい予定が入って。そんな中でも本職の成績を下げたら元も子もない。やってみないと分からないことだったんですが、成績を落とさないぞという強い思いはありましたね」
――ウマ娘やドラマの影響もあって競馬ファンのすそ野が広がり、“名言”の反響がさらに増したようにも思えます。
戸崎騎手「ウマ娘は大きい存在だと思いますし、去年は『ザ・ロイヤルファミリー』もあって競馬の流れが来ているのかなというのはありますね。(反響については)驚きでしかないです。こんなにファンの方々の声があるんだというか。(本書の)取材も何社もあったり、サイン本のお渡し会もあったりで、こんなに大ごとになって大丈夫か?みたいな(笑)。ドキドキしていますけど、でも新鮮なことですし、なかなか味わえないこと。ありがたいなと感じています」
――その名言“ベリベリホース”について少しだけ振り返りたいのですが、本書では同レースでのダノンデサイルの走りについて「騎手人生の中で一番の乗り味」と明かされていました。
戸崎騎手「ドバイで乗った追い切りは、正直良い動きではなかったです。レースも不安ではあったんですが、スタートして1コーナーで『なんだこの走りは!?』と思うくらいの手応えで。そのあとはいつでも弾けそうな感じがあって、道中はもう余裕をもって乗れました。それで直線はあの走りだったので、本当に気持ち良かったですね」
――戸崎ジョッキーの長年の騎手人生においても、そのような乗り味を感じることはそうそうない?
戸崎騎手「ないですねぇ~。基本的に自信もないし、小心者なんで、そんな余裕をもって…なんておこがましくて(笑)。ダノンデサイルに助けられました。いつも(勝つと)ホッとするのが先なんですが、初めて『うわっ、やった!』みたいな気持ちになった瞬間でもありましたね」
――馬券発売もあり、海外の大レースの注目度も年々高まっています。海外のGIを初めて制されて、ジョッキーご自身の捉え方に変化はありましたか?
戸崎騎手「日本馬は強くなっていますし、チャンスはあるのかなと。ただ、そういう馬に出会えたり、流れが来たりというのが大事だと思うので。いつかは…という思いがある中で、日々生活していくのが大切かなと思っています。今やるべきことは、次のレースで最高のパフォーマンスをすること。その積み重ねかなとは思いますね」
勝者の景色を「想像できないからこそ勝ってみたい」日本ダービーへの思い

――そんな2025年は騎手部門で2年連続のMVJに輝いた反面、本書ではリーディングを逃してしまったことへの悔しさも記されていました。2026年はどのような1年を過ごしていきますか。
戸崎騎手「そんなに大きく変わることはないですけど、日本ダービーが勝ちたいレースのひとつなので、そこを目標に。あとは1年ケガなく、ひとつひとつ丁寧に大事に乗って、リーディングに近づける戦いができたらいいなと思っています」
――日本ダービーについても「特別なもの」「勝者の景色を見たい」と明かされています。改めて戸崎ジョッキーにとってこのレースへの思いというのは。
戸崎騎手「昔はそれほど重きを置いていなかったんですが、2着になるたびに思いは強まりますし、他のレースとは違うように思えてきています。(勝者の景色を)想像できないからこそ、勝ってみたいですね」
――さらに、我々もとっくに勝っていると思っていたのですが、東京大賞典への思いというのは。
戸崎騎手「それもありますね。忘れ物じゃないですけど。戸崎の七不思議のひとつに入れていただいたらありがたいと思います(笑)」
――日本ダービーとはまた種類が違うかもしれませんが、大きさとしては同じ思い。
戸崎騎手「そうですね、そう思います」
「ベリベリホースに次ぐ名言」はいつ飛び出すのか?

――1月のJRA賞授賞式では、「ベリベリホースに次ぐ名言をどこかで出せたら」と仰られていましたが…。
戸崎騎手「いやまあそうなんですけど、準備しちゃったらとてつもなくつまらない(笑)。もともとそんなにセンスが良いわけじゃないですし…」
――でも、海外やダービーで勝ったら、期待は膨らむと思います。
戸崎騎手「来るぞ来るぞ!ってね。準備せざるを得ないですよね…。でも、そこまで期待にこたえられないとは思っています。あれ以上のことはないですからね」
――やっぱり、邪念は持たずにレースで勝つというのが一番ですよね。
戸崎騎手「そうです。それが確かなんですが、でもどこかで準備している自分がいるというのが。良いのか悪いのか…っていつも思っていますけど」
――では、忘れたころにまた出てくるかもしれない、くらいに思っておきます。
戸崎騎手「そうですね…いや、忘れられるということは相当先だからそれはイヤだな(笑)。勝てていないってことだから!」
――そうしたら、坂井瑠星ジョッキーのように流暢な英語で答えてみるというのは…。
戸崎騎手「いやあ、それはそうなんですけど…ハードル高いですね!」
――本題に戻ります(笑)。戸崎ジョッキーがこの先『やり抜いて』いきたいことについて、最後に教えてください。
戸崎騎手「この先、僕もまったく想像できていないんです。ただ、いまは本当に、騎手としてやり抜いていきたい。その中でYouTubeもありますし、今後また(別のことも)出てくるかもしれないですが、流れに乗って生きていきたいなというのはあります。その中で、競馬の魅力をより伝えていけたら良いなと思います!」

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