競馬コラム
【宝塚記念レース回顧】肉を切らせて骨を断つ…武豊メイショウタバルの人馬一体となった鮮やかな逃げ切りV
2025/6/16 12:05
6月15日、阪神競馬場で行われた上半期の総決算、第66回宝塚記念(G1・芝2200m)は、武豊騎手騎乗の7番人気メイショウタバル(牡4・栗東・石橋守)が鮮やかな逃げ切りVを決めた。鞍上の武豊騎手は歴代最多の5勝目、石橋守調教師は嬉しいG1初制覇となった。
梅雨時期らしい雨の跡が残る馬場状態。午前は重、午後には稍重まで回復したものの、適性が問われる難しいコンディションだった。武豊とメイショウタバルが刻んだラップは前半を59.1、後半は59.8と平均ペース。レースの中盤で12秒台で息を入れながら、早めから11秒台を連発してじわっと突き放していく精密なラップを刻んだ。
じわじわと脚も使わされ、馬場も相まって、後続も押し上げるのに苦労したであろう、正確な体内時計でまさに肉を切らせて骨を断った素晴らしい逃げを披露。この馬場も全く苦にしなかったメイショウタバルの走りに加えて、豊マジックが炸裂したとなれば、各馬成す術はなかった。
ベラジオオペラの敗因は馬場適性の差か

2着のベラジオオペラは早めにメイショウを捕まえに行ったものの、直線では逆に突き放される形に。好位を取って勝ちに行っての2着。これ以上ない競馬はしており、きょうのところは馬場適性の差も大きかったか。力は出し切った。
3着ジャスティンパレスは自分の競馬に徹しての3着。勝ちに行く競馬ではなかったが、伸び伸びスムーズならこのくらいは来れる能力がある馬。しかし、今回は鞍上の手綱さばきも大きかったか。それでもまだまだ能力は衰えていない。
4着ショウナンラプンタも後方から差し脚を伸ばしての惜しい結果。近走は相手問わず善戦しており力はつけている。今回は外枠の影響で終始外目の厳しい競馬となってしまった分か。立ち回りひとつでは3着もある好走だった。道悪も問題なく中距離でも十分通用する。
5着チャックネイトはレーン騎手の立ち回りに尽きる。終始インに張り付いてロスなく進出。直線でもぽっかり開いた最内を伸びてきた。馬場も完全にマッチしていた一頭で、様々な要素が噛み合ってのこの着順。逆を返せばこれ以上は何をやっても難しかったかと思われる。
11着に敗れたレガレイラは骨折明け、有馬記念以来のレースで、常識的に考えれば中々厳しい条件。中団をスムーズに追走しているようには見えたが、脚は溜まらず直線でも不発に終わった。
これまでの競馬を見ても、位置を取りに行って伸びてくるイメージはあまりなく、半年ぶりのレース間隔も含めて負けるべくして負けてしまったように思う。有馬記念のようなスローの中で自然と好位に収まるのか、後方から一気に脚を使う競馬なのか、条件が噛み合わないと厳しい印象だ。

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