【武豊日記】最高の成果

(C)平松さとし

 先週末はサウジアラビアへ遠征。ボクの16か国目の騎乗でした。レースの前々日になって、新型コロナウィルスの感染国(日本もそれに入っていました)からの入国が禁止となり、日本から直前にやってくる予定だった何人かが、出国寸前に足止めされたと聞きました。ボクら関係者は王様からの招待なので、どんなビザよりも強いVIP待遇の入国。とはいえ、お酒が飲めず豚肉厳禁なのは変わりません。コーラばかり飲んでいたような気がします。

 肝心の競馬で最高の成果が上がりました。フルフラットで挑戦したサンバサウジダービーC(ダート1600m)が1着。マテラスカイで挑んだサウジアCは、逃げ切り寸前のところで止まってしまって2着でしたが、世界のホースマンが集まった場所で存在感を発揮できた満足感はありました。サウジアラビアの競馬はまだパート3国(日本は最高のパート1国)ですが、世界最高賞金のこのシリーズを続けて行けば、あっという間に一流国の仲間入りでしょう。来年も参加したいものです。

 ところで、フルフラットがスタート寸前にアクシデントに見舞われたシーンは、テレビでご覧になった方もおられたでしょう。なにかの弾みで頭絡が外れてしまったのです。ボクはとっさに馬から下りて、フルフラットの片脚をつかまえていました。30数年前に競馬学校で習ったやり方です。馬が冷静だったこともあって、係員の方に頭絡を再装着してもらって一件落着。そのわずかな隙に、フルフラットの蹄鉄の隙間にたまった砂をステッキで掘った(裏掘りといいます)のも、我ながらいい仕事でした。あの勝利を、「ユタカマジック」と評していただいたところもあるようですが、もしそうならゲートが開く前の出来事がそれだったでしょう。スターターにも「good job!」と褒めてもらえました。

 今週は土曜が阪神、日曜が中山での騎乗。特に日曜は「ディープインパクト記念」の副題がつけられた弥生賞に、メンバー中唯一のディープインパクト産駒であるサトノフラッグに乗せてもらえるのですから、非常にありがたいことです。無観客の競馬がどういうものなのかは、今週が初めての体験。一日も早く正常化して、たくさんの声援の中で競馬をしたいのは言うまでもありません。

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