【秋華賞レース回顧】展開面では有利だったソダシ

秋華賞回顧

 前後5F61・2―60・0秒のスローペース。単オッズ1・9倍の圧倒的支持を集めた純白のソダシは、逃げたエイシンヒテンの2番手につける絶好位。今日もいつもの強いソダシが見られる――。そう思わせたのも3コーナーまでだった。

 歓声が悲鳴に変わった。三分三厘でエイシンヒテンを交わそうと吉田隼人の手が激しく動くが、ソダシは動かない。直線に入ると瞬く間に後続に飲み込まれて10着に沈んだ。

 すでに各所で敗因の分析はなされているが、ゴール前でつかまったのならともかく、直線に入る前での失速だから、距離やコースの問題ではないだろう。展開面もエイシンヒテンが4着に粘ったことを考えれば不利ではなく、むしろ有利だったといえよう。
 
 となると原因はメンタル面か。レース後に須貝調教師が歯茎から出血していたことを明かしたが、スタート直前にゲート内で激しく暴れていたソダシ。そもそも輪乗りから発走地点に集合する前にも、イヤイヤをして立ち止まるなど、気難しい面を見せていた。何らかの理由でレースに対して後ろ向きな感情が働き、それがゲートでのアクシデントにつながったのだとしたら、今後へ向けて大きな課題が残ったことになる。

【秋華賞】吉田隼「申し訳ない気持ちです」レース後ジョッキーコメント
 

アパパネ譲りの成長力

【秋華賞レース回顧】展開面では有利だったソダシ

 一方、勝ったアカイトリノムスメは桜花賞4着、オークス2着ときて、ラスト3冠目の秋華賞で初戴冠。好位の後ろでピタリと折り合うと、直線ではジワジワと脚を伸ばして先頭でゴール。牝馬三冠を制し、古馬になってもGⅠヴィクトリアマイルを勝った母アパパネ譲りの成長力で、春の雪辱をはたした。
 
 必ずしも爆発的な決め手があるわけではなく、レースぶりとしてはやや地味ながら、決して大崩れしないのが同馬の強み。今回も2、3着との着差は1/2馬身ずつだったが、前哨戦を叩かれていたライバルに対してアカイトリノムスメは春からのぶっつけ本番。それを考えれば着差以上の内容だったと評価することも可能だろう。今後は古馬や牡馬との対戦が待ち受けているが、相手なりに走れるしぶとさは侮れない。

 中団後方からメンバー最速の上がり(3F35秒5)を繰り出して追い込んだファインルージュが2着。さすがはルメール騎手で、パートナーの持ち味を存分に引き出した。もう少しペースが流れていたら、さらに際どい勝負になっていたかもしれないが、距離や輸送をクリアできたことは大きな収穫。今後の展望は明るい。

 3着アンドヴァラナウトはアカイトリノムスメのインで併走する形。直線では内をロスなくさばいてきて、コース取りとしては100点満点に近かったが、最後は力尽きて3着。ローテや展開などすべてが上手くいっての結果だけに、現状は上位2頭とはやや力差がある印象。ただ、この夏に2勝目を挙げた上がり馬で、母グルヴェイグも古馬になってから重賞(マーメイドS)を制したように、本馬もこれからどんどん良くなってくる可能性はある。
 
 4着以下は離されたが、あまりに負けすぎだったのは13着ユーバーレーベン。脚部不安明けで順調さを欠いていたとはいえ、デビュー以来、常にメンバー上位の脚を使ってきた堅実派が今回はまったく伸びなかった。ひと叩きされた次は・・・と見る向きもあるだろうが、〝片鱗〟すら見せられなかったのは気がかりだ。